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Days of GUNNER

   
カテゴリー「Afterwords for "GUNNER QUEEN"」の記事一覧

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GUNNER QUEENのこと(その5)

 どうやら繁体字版の3巻も無事発売されたようで(KTC様献本よろしくお願いしますペコペコ)、いい加減過去の歴史になって久しい感じのあるGUNNER QUEENですが、前回の予告もしていたことでもありますので、あと何回か思い出をさらっと綴って終わりにしたいと思います。

 というわけで、今回はアシスタントさんの話です。

 いわゆる漫画家さんが雇う「アシスタント」と言う形でのヘルプをお願いするようになったのは2巻第3話"Leviathan"以降になります。この回は連載初回以降2回目の32ページ構成と言うこともあって、スケジュールを読み違えて正直どうしようもなくなった時でした(今思い出しても背筋が縮こまる思いがします)。結局この時は細々と作業を割り振って5人程の方に手伝っていただきました。この時期を乗り越えたことで、実際の自分の体力的限界が見え、以降の作業の見通しが立つようになりました。

 その後連載終了まで、お手伝いいただいた方のスケジュールもあって顔ぶれも変わりましたが、最終的には2人の方がほぼ通しでGUNNERのアシとして頑張ってくれました。このマンガがまがりなりにもコミックスとして3冊も続いたのはひとえにアシスタントとしてご助力いただいた方のお力があったこそで、また、作業がキツイ中でアシの伝を探してきてくれる担当氏の敏腕ぶりによるところ大でした。

 とりわけ、アシとして頑張ってくれた上記の2人の上達ぶりには目を瞠るものがあり、塗り担当の一人は後半にはいちいち指示を出す必要も無く、原稿を渡すだけでとりあえず基本の塗り分くらいは仕上げてしまうまでになり、もう一人はこっちが特に指定を出さなくても勝手に背景を描いて上げてくるという、もうYouデビューしちゃいなYo!と言わんばかりの気の利きようで、
こんなラフが…

こんな感じに(キャラは私が描いてます)
 ここまでされるとさすがにそのままでの待遇ではイカンと思い、日給を上げさせていただきました。


 作業自体は基本的にオンライン入稿で、在宅作業となることから、雇用主(=KTCと私)からはアシスタントさんの作業をチェックすることは限界がありました。また作業の支払いはKTCの規定により日当としてアシさんに支払われると言うシステムでした。

 これは、悪意的に解釈すれば「サボろうと思えばいくらでもサボれる」「下手でもなんとなく作業していればお金がもらえる」ということです。

 このため、アシさんに手伝っていただくにあたって、最低限守っていただくことを決めていました。具体的には、

・時間がかかってもいいから、作業を最後までしっかりとやる。
・わからないところは聞く。

 要はクオリティを優先して作業効率については目をつぶりますよと言うことで、「指示がよくわからないし、自分下手なのでここはやりませんでした」と言って納品するようなことはさせない、と言うことです。

 逆に、アシさんのやる気が先走って、あんなものからこんなものまで描いちゃいましたというのに関しては何一つダメ出しをしませんでした。言っちゃあなんですがどうせ読者も限られたマイナー作品なんだから好きなことやって結構ですよと、むしろ大歓迎ですよ、自分でモチベーションを高められる人の邪魔はしませんよということです。

 したがって、どこの職場にもいるんでしょうが「指示待ち族」的な人には私の作業に付き合うのは苦痛だっただろうなあ、と思います。逆にやる気のある方、また既にそれなりにスキルのある方には楽しめていただけたかもしれません(実際に聞いてはいないので勝手な想像ですが)。なんにせよ使う側の立場から言えばこのスタイルを変える必然性を感じないので、今後とも「やる気のある人がやってて楽しい作業を提供したい」という姿勢は変わらないです。

 そういえば、連載中、原稿を入稿した後に担当氏から連絡があり、急遽他のヴァルキリーの作家さんの原稿を手伝ったことがありました(笑)。他人の線画をグレーで塗ると言うのはあまり経験の無いことでしたが、作業に没頭してくると、その作家さんの持つ「立体感覚」というのがだんだんわかってきて、それがあまりに面白くて結局締め切りギリギリまで引っ張って作家さんと担当さんを慌てさせたという事もありました。その節は大変申し訳ないことをしたなぁ…と反省もしきりなんですが、そんなあなた、私のところに話を持ってくる時点でこうなることは9分9厘判ってるわけで…と思わんでもなかったり……
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GUNNER QUEENのこと(その4)



 前回からずいぶん時間が空いてしまい申し訳ありません。コミックスの準備と同人原稿などでてんてこ舞いでした。今年の夏コミではサークルAXZ様から出る同人で描いています。true tears本とバーディー本、それにハルヒ本です。詳細はサークルAXZさまのHPでご確認ください。

 さて、引き続いてGQの裏話です。今回はGQ(コミックヴァルキリー)のエロ描写についてです。

 コミックヴァルキリーのアオリで、「18禁ではないからこそ表現できるドキドキがある!」とあるように、雑誌としての企画は当初から「18禁ギリギリを狙う」というものでした。

 ということは表現できる幅は広いわけで、これを利用しない手はありませんでした。GQがコミヴァの中でエログロ的な立ち位置にあるように言われることがよくありましたが、これは「銃を持ったお姫様モノ」を「18禁ギリギリの表現でやる」以上、必然的なものでした。ただしエログロは表現の手段であって目的ではありません。エロはリュシィやミスエの受けた精神的・肉体的苦しみであり、グロはそれに対する怒り・恨みの大きさを表現するようにしたつもりです。

 ただ、その表現も13話終了時に、突然「自治体の青少年有害文書に指定されそうだから、今後はこういった表現を控えましょう」ということになりました。グロに関しては特に何も言われなかったのですが、エロに関しては精神世界とはいえ本番シーンでしたので、まあマズいと言えばマズかったかもしれないなぁ…と思います。最後までお読みいただいた方はお分かりかとは思いますが、この13話以降、エロシーンはありません。実際は話を進める上で必要性に乏しかったのも理由ですが、とにかくこれ以降話にそういったシーンを絡めることは無くなりました。

 今となってはあの時ああしていれば、とか、こうしていれば…ということを考えることもできますが、当時はとにかくいっぱいいっぱいで、とてもそこまで気が回らなかったと言うのが正直なところです。その後別の雑誌の編集の方にお話を伺ったところ、「青年誌だったらレイプシーン以外たいていOK」とのことなので、ひょっとしたらコミックヴァルキリーは少年誌と言う位置づけかもしれません。そのあたりのところ、聞いてないのでわかりませんが…

 なんにせよ、定義も範囲もあやふやな中で、ギリギリを狙って描くのは結構精神的には大変でした。ああいうものを描いといて言うのもなんですが、個人的にはエロもグロも苦手なので。特にグロは映画「エイリアン」(第1作)の、エイリアンが人間の腹を喰い破って出てくるシーンがトラウマとなってぶっちゃけ大嫌いなジャンルです。

 と言うわけで今回はこの辺で終わりです。あと2回くらい続くと思います。次回はとても心強かったお手伝いさんに関するお話です。

GUNNER QUEENのこと(その3)


某ショップ様で配布したメッセージカード。

 気がつけば6月ももう終盤です。どういうことなの…

 夏コミはサークルAXZ様よりハルヒ本とバーディー本が出ます。まだ描いてる途中ですが。

 それはそうとして、GQのお話です。

 前回までの流れで、GQのプロット(特にキャラクター設定)は編集サイドで大体の形が出来上がっていたことはお話しました。こちらの作業としてはそれを絵にするということです。たしかゴスロリで服の裏地とかスカートの中に凶器が一杯隠されてて…とか、そういう希望を聞いたような気がします。ゴスロリの格好でアクションすると考えただけで当時は頭の中に不可能フラグが立ちまくりました。今ではどうでしょう、できるかなぁ…どうだろうなぁ……

 最初期のラフ

 当初、ミスエの登場は編集サイドとしては想定外だったようで、こちらから「姫様一人で旅をさせるのは可哀想ですよね」と話を振って、登場させることになりました。ミスエは当初からリュシィの相棒と言うこともあって、最終回でも仲間内で唯一人リュシィと行動を共にし、そして生還しています。

 最初のラフにはミスエは「居合使い」とありますね。恐らく「新撰組血風録」の長坂小十郎のお話が頭にあって、そういう設定を考えていたのだと思います。へっついの番人ですね>長坂小十郎 司馬遼太郎「新撰組血風録」は面白いのでお薦めです。


 当初から気をつけていたのは「サムライ」と言う言葉を使うことを意識的に避けていました(作品中では「刀使い」「兵法者」等と言われています)。リュシィ達の世界には、サムライに似たなりの人々は存在しますが、武家集団としての「侍」は存在しません。それを知るのは「私たちの世界」から召喚された人々のみであって、それを印象付けたいために、17話でパリスに使ってもらいました。


とりとめもなくラフをいくつか

 当初はまだ使用する銃も決まらず、オリジナルのリボルバーを持たせるか、S&WスコーフィールドかコルトSAAのような銃を持たせたりしてます。

 さて、リュシィはもとより、ミスエにもそれなりに重い過去を背負ってもらおうと思っていたので(何しろ生まれついての人斬りですので)、新しく善悪に染まっていない、まっさらなキャラ(≒アホの子)を登場させようと思いました。これがミルフィであり、後半でちょこっと顔を出していたハルカというわけです。

今回のおまけページの拡大です。どこで使うかは内緒

 端的に言うならばGQの良心、リュシィ達と違ってよく笑いよく泣くキャラです。ヒロインのピンチ(18禁ギリギリ)はリュシィとミスエが担当しますが、ミルフィのエロピンチを描くつもりはありませんでした。そういう立ち位置のキャラだったということです。

 キリがいいのでこの辺で次回へ続きます。キャラの話はまたネタが纏まったらすると思います。次回はとりあえずエロピンチとかエロシーンとかその辺の話をしてみようかと思います。

GUNNER QUEENのこと(その2)



 プロットを肉付けしていく過程で、最初に決めたのは「主人公にどんな銃を持たせるか」でした。なんと言ってもガンアクション漫画を目指すわけですから(一応)、自分の好みやプロットのイメージからいくつかの条件を設定して、候補を絞り込みました。

・レトロな雰囲気を醸し出す銃が望ましい
・実用美・機能美がありつつ、意匠美も感じられるような銃(要は自分の好み)
・他の漫画と登場する銃が被らないこと
・資料が豊富で、描き易いこと

 その他取りとめも無くいろいろとありましたが、まず(半)自動式拳銃は候補から外しました。作中では弾数の多い乱れ撃ち演出は避けたかったからです。実際リュシィは殆ど単射のヘッドショットで敵を倒してますが、あれは私たちと違って法力で敵を「視て」弾を当てている、そんな風に思っていた時期が、俺にもありました…ではなく、そういう1発1発のインパクトを出したかったというのがありました。
 その次に、コルトSAAのようなアメリカの19世紀頃のリボルバーも候補から外れました。なるべく西部劇っぽい銃にはしたくなかったためです。主人公は王女様ですし。

 最終的にはヨーロッパの19世紀末~第2次大戦前のリボルバーが候補に残りました。参考写真は英語版wikiのものを使用しています。M1880はwikiにも画像がありませんでした。ぐぐる先生の画像検索でも1件くらいしかヒットしません。

RSAFエンフィールドNo.2Mk.I


ウェブリー&スコット(Mk.VIほか)※写真は38口径のMk.IV


エミール・ナガンmodel1895


ラスト&ガッサーmodel1898


model1892リボルバー(フランス)


model1880リボルバー(ドイツ)


 このうち、資料の入手しにくさで、残りのリボルバーの殆どが哀しいことに姿を消していきました…個人的には最後まで描こうかどうしようか迷ったのがナガン・リボルバーで、他にラスト&ガッサーも結構迷いました。ナガンは滝沢聖峰先生の「幻の豹」で、遠藤を処刑する時に一コマだけ登場します。横アングルからの描写で、恐らくは写真資料をもとに描いておられるかと思いますが、それ以外の場面での描写が無いところを見ると、やっぱりいろんな角度から写した写真資料などは手に入りにくい(実際ぐぐる先生の画像検索でも上下のアングルから撮影した写真画像は滅多に無い、あっても低解像度)のだろうと思います。逆にエンフィールドは宮崎駿監督のお気に入りということも手伝ってか、作画資料も豊富で、モデルガン化もされており、しかも比較的安価で手に入ることが決め手となり、最終的に主人公アイテムの座を射止めたのでした。



 ちなみに意匠美を考慮に入れたときに、ちょっとだけ「オートマチックでもフリントロックでもいいから、ベレッタあたりの職人が彫金したラグジュアリー銃を持たせたらどうだろう」と思いましたが、作画で死ねるので断念しましたw

 RSAFエンフィールドに関しては、コミックス2巻で簡単な説明を載せています。作画の参考にしたのはマルシンのヘビーウェイトモデル、そのほかwebで漁った画像と、洋書ですが Skennerton".380 ENFIELD No.2 REVOLVER"(Mark Stamps & Ian Skennerton)を参照しています。


 銃弾の記述は日本のweb記事には「.380エンフィールド弾」とありますが、コミックスに解説を載せるにあたり、最終的には上記書籍と英語版ウィキペディア記事を参考にしました。

 連載していて嬉しかったのは、wikiにGUNNER QUEENの記事を書いてくれた人がいたことと、MEDIA GUN DATABASEのエンフィールドの記事にGQを追加してくれた人がいた(ベレッタM84の項目にはさりげなくミルフィも書き加えられています。感謝)ことでした。一方でウィキペディア日本語版からエンフィールドリボルバーの記事が削除されてしまったのはちょっぴり悲しかったです(編集履歴を見た限りでは、どうも説明記事をMEDIA GUN DATABASEから転載していたようで、それがいけなかったらしいです)。

 銃の話が長くなって、キャラの話が書けませんでした。次回はリュシィとかミスエとかミルフィとか、主人公周りのキャラについて書きたいと思います。

GUNNER QUEENのこと(その1)

 同人原稿も上がり、後は入稿の連絡があれば完了というところまで来ました。サークルAXZさんすいませんすいませんorz

 とはいえ仕事的には一段落というところですので、今のうちに何回かに分けてGQの思い出話などをやっておこうかと思います(回数は未定です)。



 
 コミックス1巻の巻末にも書きましたが、GQのお話を頂いたのが2006年初頭、プロットはすでに編集部で用意されていました。

・戦うお姫様モノ
 ぬれぎぬを着せられ死刑囚となったお姫様が、
自分を填めた相手を探し出すために、追っ手と戦いながら、
旅をするシリアス+アクションシーンでのお色気を盛り込んだ内容。

・主人公
 かつては高貴な王女様だったが、
 汚名を着せられ刑務所(のようなところ)に幽閉されてしまう
 死刑囚として刑務所に幽閉されていたため
 性格はクールで暗いが、根は優しい。
 王家に伝わる戦闘術をマスターしていて、
 いくつもの銃を使いこなし、敵と戦う。
 服の内側には何挺もの銃が隠されていたり、隠しナイフが入っている
 一般人には優しいが、敵の追っ手の暗殺者やモンスターには容赦しない。

 この辺りのプロットに、私の方で追加する形で世界観を作り上げていきました。ヒーロー(ヒロイン)というのは世界の枠組みが切り替わる瞬間に現れるもんだと思ったので、ああいう設定に。それから、一人で世界を旅させるのは可哀想だったのでお供を付けました。最初は少年でも…と思ったんですが編集サイドは「とにかく登場人物は女の娘で」と、女のコにこだわっていました。ただミスエはどうだったかな…。弥次さん喜多さんのように、個人的には「道連れの旅は同性どうし」というイメージだったので、案外そこらが元になっているかもしれません。



 全体的なボリュームは、当初大体4巻くらいを見積もっていました。エピソード的に盛り込むネタは特に不自由はしないので、膨らませる分には問題ないですよということを編集さんに対してはお話したように思います。実際ちゃんと世界観の隅々まで描くなら、自分の画力見積りが圧倒的に足りないので(泣)、最初は1対1のバトルから始めて、描き方が解ってくるに従ってハードルを上げていこうという方針で連載が始まったのでした。

 とりとめがないので一度ここらで切ります。次はこの漫画の主役、リュシィとエンフィールド辺りのネタで書いてみようと思います。

プロフィール

HN:
R-Ex
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
コンシューマゲーム開発からイラスト・3D・アーケードゲーム開発を経て現在イラスト・マンガ中心でお仕事を頂いています。個人名を出せるお仕事は一迅社「萌える戦艦」イラスト、KTC「コミックヴァルキリー」連載『GUNNER QUEEN』等。

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